ホワイトテープで行う時は最初にアンカーを足底からMP関節部に巻くのだが、ここに工夫がみられた。足背の部分を縦2本に切り交差さる事でシワが少なく、また、広い範囲に重ねる事で剥がれにくくされていた。また、外反母趾にも対応可能とのこと。2本目は内側縦アーチを形成する為に、母趾背屈位で第1MP関節を踵骨に近づけた状態で固定した。この過程が最も重要であり、後の過程もこの2本目を固定するものであった。
ダイナミックテープの場合では、伸張した瞬間から張力が働く特性を生かし、テンションをかけずに沿えるように巻かれた。
どちらのテーピングでも、歩行時には蹴り出す際の推進力の違いが明確に感じられた。幅広いスポーツ現場でアーチ低下による怪我や怪我の予防、パフォーマンスの向上に効果が期待できる内容であった。




第二講演 田中誠人先生による「肩関節脱臼整復の最前線」では、ラグビー選手の症例を挙げたスポーツ現場の近況や外科的処置が紹介された。
ラグビーで肩関節脱臼は肩部の負傷では2番目に多い。順序としては肩鎖関節脱臼、肩関節脱臼、腱板損傷、骨折の順となる。反復性脱臼にはバンカート修復術や烏口突起移行手術などの外科的処置が行われ、不安定性(Unstable Painful Shoulder)には注射、肩甲骨周囲筋トレーニングでの改善が紹介された。検査時は服を脱がして視診、肩峰の突出や骨頭の有無の確認する事など、現場でも慌てずに合併症の確認など見落としの無いようにすることを教授頂いた。肩甲骨の位置、骨頭の転位を踏まえ、筋スパズムを考慮し若干の屈曲位で行う方が整復しやすくなるとの事で、整復に対するイメージが深まった。整復後の固定肢位は内旋位より外旋位の方が効果的で再脱臼率が下がる。これは肩甲下筋の伸張により前方の関節包などの安定機構が高まると考えられる。