場 所 武蔵浦和コミュニケーションセンター8階 第1集会室
主 催 埼玉支部
参加者 21名
2020年1月26日、埼玉支部企画による「長距離走におけるケアの留意点と最新の話題」と題して、蛭間栄介先生(帝京大学教授・JATAC専務理事)よりご講演を賜りました。内容は1.有酸素運動と健康、2.足部アライメントとスポーツ障害、3.スポーツシューズの歴史と開発、4.素足ランニングとシューズランニングについてでした。「有酸素運動と健康」では有酸素運動の効果と方法について、先生のご専門であるスポーツ科学の立場からご教授頂き、中でも高齢者を対象にした高血圧者トレーニングとその中止が血圧とコレステロールに及ぼす影響についてご紹介され、「9ヶ月のトレーニングが僅か1ヶ月の中止にてトレーニング前の状態に戻ってしまう事」や、階段昇降での速度の違いにおける各筋横断面積の比較については、「階段の昇り時、大腰筋横断面積は速度の遅い群に比し、速い群が有意に大きかったこと等をご紹介されました。また、「足部アライメントとスポーツ障害」では、足部の構造とメカニズム・歩行サイクルに至るまで、フットワークショップでの復習事項も盛り込んで頂き、始めての受講者には大変刺激になった内容でした。最後には最新のN社のランニングシューズの話題について、他社との比較も含め先生の豊富な知見からご紹介頂き大変有意義な講習内容でした。
後半のシンポジュームでは「東京マラソンへの提言〜JATACから発信できること〜」と題し、小池龍太郎副理事長、今井裕之理事、蛭間栄介専務理事の3名にご登壇頂き、其々の立場から話題を提供して頂きました。今井理事からは東京マラソンにおけるAT支援10年の総括及び最近の活動について、4000名を超える利用者のトリートメントシート内容を中心にご紹介して頂きました。特に利用者の障害実態の詳細とATの評価・治療について更に明確にする必要性があること、また外国人利用者とのコミュニケーション方法についてさらに検討する必要性を示唆されました。小池副理事長からは主催者側の意向及び連携、他団体との関係・交流、リスクマネージメント等についてご紹介頂き、利用者への「看板」表示内容について、過去の変遷含め我々の専門性も現わせる内容表記を検討すること、またリスクマネージメントについて、トレーナーの保険加入についても更に議論の必要性を示されました。
蛭間専務理事からは、長野オリンピックでのご自身の経験を基にトリートメントシートの活用法や現場での評価法についてご紹介頂きました。フロアーディスカッションでは、以前から議論されている共通ユニフォームの作成や記念品の充実などが挙げられ、他マラソン大会での例では、短時間で効率の良いトレーナーサービスの存在が紹介され、受付コーディネイターの重要性についてのご指摘も含め、まだまだ議論の余地のあるシンポジュームとなりました。文責 今井裕之:埼玉支部)