JATAC|特定非営利活動法人ジャパン・アスレチック・トレーナーズ協会

特定非営利活動法人ジャパン・アスレチック・トレーナーズ協会
Nonprofit Organization Japan Athletic Trainers Association for Certification

スポーツ外傷・障害予防の立場からスポーツを支えるために NPO法人JATAC事務局
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2010年11月01日

第2回米国アスレチックトレーナー研修

 第2回米国ワークショップが平成10年8月29日から9月6日まで7泊9日の日程で,オレゴン州ポートランドで開催された。昨年同様,JATAC関係者9名,千葉大学関係者7名,東京YMCA社会体育専門学校関係者4名,大学関係者2名の総員22名の混成チームが講習に参加した。台風続きの日本とはうって変わって好天のもと,ダウンタウン南に位置する「ポートランド州立大学」をメイン会場として熱心な講習が繰り広げられた。

第2回米国研修報告

 平成10年8月29日より9月6日までの7泊9日の日程で,第2回米国ワークショップが行われた。昨年同様,オレゴン州ポートランド市にある「Portland State University(通称PSU)」をメイン会場とし,総勢22名の参加があった。本年度は,昨年も実施された「アスレチック・トレーニング(主任講師:Jim Wallis)」に加え,新たにGary Brodowitz氏(PSU助教授)を講師とする「ACSM運動処方ワークショップ」が同時進行で開催された。アスレチック・トレーニング・ワークショップには,本協会の秋山和孝(千葉県支部),中村博昭(新潟県支部),菊地晃(宮城県支部),橋口浩治(静岡県支部)会員以下10名,運動処方ワークショップには,伊澤恒明(東京都支部),杉山英雄(千葉県支部)会員以下12名が参加した。  8月29日,昨年とはうってかわって順調なフライトでポートランドに到着。ホテルにチェックイン後,ダウンタウン見学に繰り出した。この日は土曜日で,ポートランド名物「Saturday Market」を見学。その後,ダウンタウンの中心部「パイオニアスクエア」を視察した。この日は,Jim Wallis,Gary Brodowitz両講師に加え,講習期間中通訳としてお世話になる,Ariko,Yukoの両女性を加え水上レストランでディナータイム。その後ホテルのピアノバーで歓談し各自部屋へ戻った。
 2日目は終日フリータイム。市内電車「MAX」を利用して,「NBAポートランド・トレイルブレーザーズ」の本拠地「ローズガーデン」へグッズ購入を目的に出発。残念ながら休日のためクローズ。そこで急遽予定を変更し大型ショッピングモール「ロイドセンター」へ徒歩で移動した。各自買い物をすませ,別行動をしていた橋口先生が場所を探し当てた噂の「ナイキアウトレットショップ」を向かった。ポートランドは「ナイキ」の本社のある都市だ。ダウンタウンには有名な「ナイキタウン」もある。しかし,ナイキタウンは値段が高く,しかも日本人だらけ。ところがこの「アウトレットショップ」は日本人の姿ももちろんあったが,世界各国からの観光客やアメリカ人でにぎわっていた。勿論価格も安い(私は,50jのNBAポロシャツを10jで購入した)。しかし,意外にもナイキは地元の人からは製品の質が悪いと不評であった。ショップの場所も夜は危険な場所らしい(タクシー運転手談)。夜,ホテルのロビーに集合し,車でレセプション会場へ移動。そこは,ダウンタウンから車で約15分,ワイナリーを持つレストランで,ハウスワインの試飲ができた。日本へのお土産にと,1ダースまとめて購入したのだが,何故か日本に持ち帰られた形跡はない。レセプションには,Jim Wallis夫妻と,双方のご両親,Gary Brodowitz夫妻が参加し,楽しい一時を過ごした。  アメリカ滞在3日目の8月31日から,いよいよ2部門に別れて講習開始。AM9:00からPM5:00過ぎまでみっちりと講習。昨年同様,その後は皆でビール片手に深夜までディスカッション。あまりの盛り上がりに,ホテルの隣室からクレームがつくといった一幕もあった。
5日目の9月2日はフリータイム。日中は各自買い物を楽しんだ。この日の夜は,Jimの誘いで地元プロ野球チーム「ポートランド・ロッキーズ」のシーズン最終戦をシビックスタジアムで観戦した。野茂英雄がノーヒットノーランを演じた相手で有名な「コロラド・ロッキーズ」傘下のTAチーム(日本で例えると4軍)なので,野球のレベルは決して高くない。しかし,雰囲気は最高だった。試合開始前に地元の楽団演奏による国歌斉唱。観客全員が起立,帽子を胸に当てるおきまりのポーズ。イニング間に行われる数々のアトラクション。そして,観客動員数は約10,000。「ベースボール」という文化を肌で感じた試合だった。一方伊澤恒明,秋山和孝両先生は別行動で,ダウンタウンの「Gold Gym」へ。伊澤先生の迫力あるリフティングに屈強のアメリカ人から歓声があがり,握手を求められる場面があったとか。
 心身共に休養をとって迎えた6日目から終日講習が再開された。この日の午前中は2部門合同で「ナイキ本社」を視察。構内には,ナイキ契約選手の大型看板が並んでいた。充実した福利厚生施設を見学した後「研究所」に入った。ここはビデオ,写真撮影は一切禁止。スパイ行為防止のために英文の誓約書にサインさせられた。
7日目は講習最終日。講習終了後,Jim Wallis宅で修了証書授与式を兼ねたガーデンパーティが行われた。レセプションで一緒だったJim夫妻の両親,Gary夫人と再会。二人の子供たちも含め総勢30余名のにぎやかなパーティだった。米国滞在1週間目ともなると皆英語にも慣れ,美味い地ビールも手伝って会話が弾んだ。  9月5日朝。いよいよ出発の日である。Jim,Garyがホテルまで見送りに来てくれた。再会を期して別れ空港へ移動。手荷物検査所で伊澤先生が異常なほどのチェックを受けたが特に問題なし(写真がないのが残念である)。日本時間9月6日,15時48分,無事成田へ到着した。
 我々が滞在した1週間,台風続きの日本とはうって変わり空には雲が一片もなかった。朝晩は少し涼しいものの,日中は真夏を思わせる好天に恵まれた。途中,北朝鮮からミサイルが打ち込まれた情報が入り騒然となったが,特に大きな事故もなく無事2回目を終了することができた。米国の「NATA」と日本の「JATAC」。この両者の関係をより密接なものにするためにも,来年度以降もより充実した内容となるよう願う。(文責 菊地俊紀事務局長)

『フィットネスアセスメント部門』

本年の米国ワークショップは,1)アスレチック・トレーニング部門と,2)フィットネス・アセスメント部門(ACSM)が同時並行して行われた。著者は「フィットネス・アセスメント部門」に参加したのでその内容について報告する。
○8月29日(1日目)
 バラの街ポートランド市に無事到着。空港でヘッドトレーナーの Jim Wallis氏とスポーツ生理学のGary Brodwitzz氏の出迎えを受ける。空港からウィラメット川のウォーターフロントにある素敵な「マリオットホテル」に落ち着く。
○8月30日(2日目)
 終日フリー。時差ボケ修正日。
○8月31日(3日目)
 いよいよワークショップの始まりである。午前中の講義は「フィットネス・テスティング(体力テスト)の概要」に始まり,続いて,その1として「呼吸循環機能の評価」が行われた。安静時の評価(心拍数,血圧など),運動時の評価では最大下及び最大運動時の酸素摂取量の評価,最大酸素摂取量を推定するための各種運動による推定法(トレッドミル,自転車,腕エルゴメーター,ステッピング,徒歩によるフィールドテスト)など運動処方の重要な運動強度の設定のための最大酸素摂取量の推定法についての講義であった。あわせて最大運動負荷試験を実施に当たってのインフォームドコンセントの話など興味深かった。午後はこれらの実習である。自転車エルゴメーター,トレッドミル,及びステッピング運動を使って各自がそれぞれ最大酸素摂取量を測定した。Brodwitz氏みずからトレッドミル走で最大運動まで追い込んでデモをする姿に感激し,年寄りの冷や水か小生もトレッドミルの最大運動にチャレンジ。皆さん心配顔。
○9月1日(4日目)
 午前中は「体組成の評価」である。身体の活性組織である骨・筋の量を推定するにはまず体脂肪量の測定が必要である。その推定法として水中体重法,皮下脂肪法,形態計測法,インピーダンス法などが解説された。午後は水中体重法に挑戦である。120kgの巨体を誇る柔道整復師の伊澤恒明先生は皮下脂肪法では正確に測定できないので果敢に水中体重法に挑戦した。水中で息を完全に吐ききって体重を計るが,これを少なくとも数回行う難しい測定だ。お陰で正しい体脂肪率が評価できた。体脂肪何%?それは内緒です。
○9月2日(5日目)
 連日の英語責めで頭が疲れました。今日は終日フリー。各自きままにポートランドの街をショッピング。
○9月3日(6日目)
 いよいよ講習の後半。午前中は合同でポートランド郊外にある「ナイキ」の本部を見学する。素晴らしい環境の中にある運動施設や研究施設を見学する。特に研究施設では足を中心とした歩行のバイオメカニクス的研究が実に素晴らしい。高齢社会を迎える日本においても高齢者の歩行をケアする専門家が必要では。午後は「呼吸循環機能の評価」の実習,その2としてのフィールドテストに挑戦。とくに米国で話題の「ロックポートの1マイル歩行テスト」を全員で挑戦した。屋上のトラックを利用して1600mを懸命に歩きその所要時間と心拍数から最大酸素摂取量を推定する。終了後各種の測定成績をコンピュータを使って推定し,相互の推定誤差について討議した。
○9月4日(7日目)
 いよいよ最終講義日である。午前中は「各種運動のエネルギー消費量(カロリー)の算定」だ。「ランニング,歩行,自転車,腕エルゴメーター,ステッピングなど各種運動時のカロリー量は平地の場合では?」「傾斜の場合では?」といった具合である。面倒な計算で皆さん苦手の様子。でもアメリカの大学生はもっと苦手とか。実際に計算してみた運動だけで多くのエネルギーを消費するのは大変であることが実感できた。午後は「筋力,筋持久力及び柔軟性の評価」である。最大筋力を計るベンチプレス,80ポンドの重量で1分間に60回のリズムでの筋持久力テストに挑戦。筋肉マンの伊澤恒明先生の独壇場であった。しかし,柔軟テストでは若い学生の独壇場。これで講習会は全て終了。名残惜しむようにBrodowitz先生と写真撮影と握手責め。夕方,Jim Walis氏宅でガーデンパーティに繰り出す。ガーデンでの食事と会話は楽しく,Jim Wallis氏のご両親やご家族,Brodowitz先生のご家族,さらに2人の生理学教授などが加わり大変愉快で有意義な時間を過ごした。パーティの最後に講習会の修了証を授与され記念写真。(文責 片岡幸雄副会長)

研修旅行記『ポートランドの風』

菊地 晃(宮城県支部)、会員番号000525
 8月29日,デルタ航空成田発ポートランド行き,私にとっての初の海外への脱出であった。7割の不安と2割の希望,そしてお土産を買う1割の義務。何とも情けない海外脱出であった。それもこれも私が「English」なる他国語を理解していなかった為である。
8月29日午前10時(日本時間8月30日午前2時,そう時間は日本の方が進んでいるのである。私の頭の中はアメリカからはかなり遅れているのであるが)ついにアメリカにやってきた。周りは皆外国人である(いやいや私が外国人)。さてどうするか。前述したとうり「English」は「This is a pen.. Help me!」程度の理解力である。(本当に大學をでているのか?自分でも疑問である)。早速,語学力抜群の橋口先生,通称橋ヤン,をつかまえ「通訳頼む。俺わがんねー!」。この時ほど自分を情けなく思ったことはなかった。これから1週間どうなる事やらまったく。こまった親父である。そんなこんなしている内にホテルに到着し,明日からの予定が発表され,神妙なおももちで間違わないように集中して聞いている。学生時代にこのぐらいの集中力があったら,私もペラペラに「English」を話すことができただろうに,反省しきりでありました(それにしても橋ヤンはすごい!)。翌朝8時30分,ここから長い1日の始まりである。[Portland State University」はまさにアメリカの大學である。広い緑の中に大學のキャンパスがある。仙台も緑が多いが比ではない。(この時点で昼はこの芝生に座り込んでハンバーガーをアメリカンに食べようと決めていた)。  授業開始,通訳を介しての講義が始まる。2割の期待に胸が躍る。が,次第に困惑の世界に。「何で俺こんな事してんだ?こんな事のために俺はアメリカに来たんでねーべや」(たかが2割の希望にしてはなんと大胆な思い。先ほどまでの外国語アレルギーみたいなものは何処に行ったのでしょう?身勝手な親父だこと・・・)。さらに時間が経つにつれ怒りに。そして夜,怒りを片岡幸雄先生にぶつける。ここまでは予定通りに事が運んでいる。このまま怒りを全部片岡先生にと思いきや,片岡先生もただの人ではなかった。逆襲が始まった。大學の教授らしい理路整然とした理論と,今までの価値のある経験により完全武装された逆襲である。これにはいくらなんでも感情でぶつかった私達ではひとたまりもない。ものの見事に玉砕,ポートランドの粉となりました。「アメリカに来て日本を入れようと思うな。アメリカに習え。」この一言を最後に名匠片岡先生もお酒の飲み過ぎでベットの上で玉砕されました。残念なことをしました(勝手に人を殺すな)。しかし,おかげで私達は目を覚ますことができたのです。「アメリカを吸収して帰る,アメリカを理解する」そんな気持ちが相手にも伝わったのか,それからの1日,1日が速いこと速いこと。中身のある充実した,2割の希望に対して10割増し位の内容でありました。ようするに私達の思い上がりが,講義をつまらないものに感じさせてしまったのですね(片岡幸雄・繁雄先生,佐野裕司先生本当にありがとうございました)。ポートランドの地でその事に気がつくことができました。日本への帰国の日,ポートランドでは心地よい風が吹いておりました。まるで生まれ変わった私達を祝福するかのように。皆さんはどうですか。知らないうちに「思い上がり」という病にかかっておりませんか?今ならまだ間に合います。行ってみませんかアメリカへ。吹かれてみましょうポートランドの風に。(決まりすぎました。でも本当です)
講習 アスレチックトレーニングセミナー ACSM フィットネスアセスメントセミナー
講習1日目 @リハビリテーションプログラム
A下肢のリハビリ実習
Bテーピング実習(足関節)
C障害の評価
D救急処置・障害治療
Eテーピング実習(膝靱帯損傷時)
左記と同じ
講習2日目 @上肢リハビリ実習
A障害を持った競技者とその心理
B女子サッカー試合見学(アイダホ大學との練習試合を見学。)
Cテーピング実習(足関節・膝靱帯損傷・過伸展)
左記と同じ
講習3日目 @ナイキ本社視察
AアメリカにおけるATCの現状と日本人
BNATA・ATC保有者の現状
CPSUアメリカンフットボールチーム練習見学
フィットネス・テスティング(体力テスト)の概要
@呼吸循環機能の評価(1):安静時の評価(心拍数,血圧など),運動時の評価(最大下及び最大運動時の
酸素摂取量の評価),最大酸素摂取量を推定するた
めの各種運動による推定法(トレッドミル,自転車,
腕エルゴメーター,ステッピング,徒歩による
フィールドテスト)など
A最大運動負荷試験を実施に当たっての
インフォームドコンセント
B最大酸素摂取量測定実習:自転車エルゴメーター,
トレッドミル,及びステッピング運動
講習4日目 @膝部障害のリハビリテーション実習
A栄養学
B各種身体能力の評価
@体組成の評価:水中体重法,皮下脂肪法,
形態計測法,インピーダンス法など
A水中体重法実習
講習5日目 終日自由行動 左記と同じ
講習6日目 @ナイキ本部を見学(歩行のバイオメカニクス的研究)
A呼吸循環機能の評価(2):フィールドテスト、ロックポートの1マイル歩行テスト実習・討議
左記と同じ
講習7日目 @各種運動のエネルギー消費量(カロリー)の算定実習
A筋力,筋持久力及び柔軟性の測定・評価実習
修了式とガーデンパーティ(Jim Walis氏宅)
左記と同じ
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写真その1
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写真その2
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写真その3
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写真その4
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写真その5
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写真その6
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posted by jatac-atc at 00:11| 海外研修