JATAC|特定非営利活動法人ジャパン・アスレチック・トレーナーズ協会

特定非営利活動法人ジャパン・アスレチック・トレーナーズ協会
Nonprofit Organization Japan Athletic Trainers Association for Certification

スポーツ外傷・障害予防の立場からスポーツを支えるために NPO法人JATAC事務局
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2010年11月01日

第6回米国アスレチックトレーナー研修

 ポートランド州立大学を会場として,平成14年5月3日から6日までの4日間,講習が行われました。
今年で第6回目となった恒例の米国研修は,初めてゴールデンウイーク開催となりました。これまで夏に行っていた研修のアドバンスコース的な内容(講習内容は下記日程表参照)で,日本からJATAC会員12名を含む18名,現地参加2名,計20名が参加しました。本協会からの参加者は以下の通りです。愛知秀一(岐阜),伊藤孝之(山形),今井裕之(埼玉),尾崎優(高知),岸田昌章(和歌山),齋藤和利(福井),佐藤裕之(石川),菅俣弘道(神奈川),高橋仙二(岐阜),野村義昭(愛知),原和正(長野),原澤明(群馬),竹内繁(埼玉・米国留学中)。

米国研修旅行記「ポートランドの風ーその2」

伊藤 孝之(JATAC山形、ひがしね接骨院いとう)
 長旅を経て2年ぶりのポートランド空港に降り立つ。同時多発テロの影響かチェックが厳しい。前回訪れたときは,英語ができないのと初めての海外ということで全ての検査に引っかかった。そんな事を思い出しながら空港を後にする。その日は,「リングサイド」というステーキ屋で歓迎会を受けアルコールを各自適量補給し翌日からの講習に備える。爽やかな気候のなか朝9時から講義が始まった。初日は固定とリハビリについてであった。方法や技術はもちろん,コスト,仕入先など具体的な質問が活発にだされた。内容的には痛みが有るか無いかを基準にし,痛くなく動かせる固定,リハビリを行うといった感じに受け取った。長旅の疲れも見せず真剣に受講されていた他の先生方の誠実な姿勢を学びつつ初日を終える。その後,計4日間にわたり同じように真剣に受講する。講義で得ることも大きかったが日本全国から参加なされた先生方との会話や受講する姿勢から得たことも同じぐらい大きかった。今回もまた非常に有意義な研修であったと思う。この場をかりて書く先生方にお礼を申し上げつつ米国研修の感想とさせていただきます。

米国研修旅行記

原澤 明(JATAC群馬、はらさわ整骨院)
私達全国各地からの向学心旺盛な総勢18名は引率の片岡,菊池両先生と共に第6回ポートランド州立大学アスレチックトレーナーワークショップに参加してきた。
 私自身第一回アメリカ研修に参加して以来約5年ぶり2度目の渡米でありこの間に独立開院し日々の診療に追われ強烈なカンフル剤を必要としていた時期で有ったのと,この間のアメリカでのアスレチック・トレー ナーとしての概念と実践の進歩を第一線で見たい願望が高まっていたので今回の研修もアドバンスコースと云うこともあり強い期待感を抱いての参加であった。
 ポートランド州立大学(PSU)では助教授Mr.Jim Wallis(ヘッドトレーナー)をはじめPSUでのアシスタントトレーナーArikoさん(トレーナー暦6年,東京都出身で選手からの信頼も厚く5年前と変わらぬ輝きを放っていた),その他スタッフにも歓待を受けごく自然にセミナーは開始された。
 初日には大学の専属PTの診療室で肩関節と膝ACLのOpe後のリハビリテーションの講義と実技がありレベルの高い内容で術後直後からの積極的な自動運動,荷重等機能回復の為の期間とプログラムが充分揃えられており,一般の方にも適応だという事だが大学の選手中心と考えても非常に斬新で臨床に応用し得る有意義な中身であった。
 2日目にはフットボールチームの用具担当を仕事にしている2人から事故と事故予防の為の用具調整及び選定の話を聞き用具の微調整次第で重篤な事故を防ぎパフォーマンスを向上させられることを学んだ,その後,実際にフットボールの装具を身に着けて見た,初めての経験であったが,なかなかジャストフィットして心身ともに臨戦態勢に成ったところでの集合写真は圧巻であつた。
 3日目大学の医学チームの職務の役割ではチームドクター,コーチ,ヘッドトレーナーによるセッションをして頂きお互いの職務の領域を侵さず尊重し合い信頼関係が築かれた上でのチームワークであることが充分伝わってきた,私達も含め今後の日本での課題であると痛感した。
4日目幸運なことにNBAポートランドトレイルブレイザースの施設見学ができた,当然の事ながら高度に計算された理想的なトレーニング施設であり羨望の思いで見学した,選手の傷害に対してはOpe後のケアも含め殆ど施設内で加療し回復させるとの事であり高度の医療が施されている現場を目の当たりにし興奮させられた。
 今回のアメリカ研修ではアシスタントトレーナーArikoさんを始め,カリフォルニアに留学中のJATAC埼玉の竹内先生,クラスメートの小高君,通訳をしてくれたトレーナー志望PSUの稲垣君,それにYuukoさん等アメリカで向学心に燃え行動している同年代の日本人と親睦を図れたことで彼等の存在には大きな刺激を受けた,国内に居てもこれからの自分自身のテーマを与えられた気がする。
 最後に今回のアドバンスコースを企画立案して戴いたMr.Jimを始めPSUスタッフ,本会の片岡先生,事務局長の菊地先生には感謝申し上げる次第である,尚今回御一緒に参加されたJATAC長野,原先生その他各地の優秀な先生方と研修出来たことは光栄であった。今回参加して学ぶことも多々有ったが前回の研修が私の中で生きていることを再確認出来た事も大きな収穫であった。

PSU Workshopでの経験

佐藤 裕之(JATAC石川、佐藤接骨院)
PSUまでの長旅も忘れ何かを感じとろうとして時差ぼけもそこそこに講義や実習体験,施設の見学と,あっ!と言う前に帰国しPSUでの経験を改めて整理していて,アメリカでの研修では,チームに携わるトレーナーの地位的確立と認知がかなり高いことと基礎的指導の徹底化,認識するスピード,リサーチされた決定力がありスポーツに携わる環境の整備が進んでいると思えた。実際のテクニック的技術は日本でもかなり高い位置を持っていると思うが,それ以外の基本的技術と認識が徹底化している事にも驚きました。また大学やプロで活躍している選手のトリートメントに関する心構えが日常化していて決して疎かにしておらず,チームや個人の取り組み方が日本との格差があるようにも思えました。自分は小さな地区での活動であるがその地域の活動が徐々に広がり早急に日本での確固たる地位の確立と認識をもっと広めないといけないと思いました。地域の狭いところでも活動でき勉強も出来ますが,地域または国の違いなどを直接触れることにより自分への自信と確認が出来たことにすごい収穫がありました。まだまだ物足りなく思っている先生達は,是非このようなWORKSHOPに参加され自分の行動変容を実行されてはいかがでしょうか。最後に参加された先生方からの影響も多大にありましたことに感謝し,また参加したいと思っております。

「フレーフレー ジム! フレーフレー トシキ!」

野村 義昭(JATAC愛知、野村接骨院)
 緑豊かな美しい街,ポートランド州立大学トレーナーズルームを基点としてのワークショップは,ビッシリと盛りだくさんのスケジュールにもかかわらず,座学・実技・見学とバランスのとれた素晴らしいものであった。
 選手管理のシンポジウムにおいては,鬼軍曹タイプのヘッドコーチ,やさしい内科医,要となるトレーナーとそれぞれの立場でお互いの選手管理を語り,各自葛藤はあるものの“最後はトレーナーに収斂される”との対話は興味深く,トレーナーの姿を垣間見たような気がした。
 「実技」において,救護・テーピング・トレーニング方法等々,それぞれのトレーナーの方がどんな些細な質問にも丁寧に身体をはって教示して下さる姿勢に感動した。技術的に日本で本として出版される頃には,もう次のステップに入っているような気がした。
 「見学」においては,練習前に早朝からアメフトの大勢の選手がケアを求めてトレーナールームに殺到し,混雑の中で手際よく処置し,練習中はフィールド内外を走り回って給水や手当てをし,練習後はケアや記録等といった生き生きした現場に終日立たせて頂き,鮮烈な印象を受けた。ジム先生を中心としたトレーナーチームの皆様のいつも笑顔を絶やさぬ熱心な指導を頂き,私も身体一杯“ヤル気”と“自信”を詰め込むことのできた研修となった。
 最後に,土日の休日にもかかわらず終日ご指導頂いたジム先生とお仲間の皆様,そして菊池事務局長さんに心から御礼とエールを送ります。感謝!

アメリカのスポーツ現場

高橋 仙二(JATAC岐阜、高橋接骨院)
 今回,アメフト,バスケット,バレーの練習を見学することができた。やはり,体の大きさには驚く。NBA選手のバスケットシューズを実際に履かせてもらったが,まるで大人の靴を子供が履いているようで,笑ってしまった。そして,すごい筋肉をもったアメフトの選手が,激しいタックルを繰り返す練習を見て,また,リーチの長いバレーの選手が,鋭いアタックを打つ「肩」を見て,“筋肉は,体を守るためにつける”ということを再認識した。最後にNBAブレイザーズのトレーナーが,「テーピングの必要性に疑問」を持ち,テープをすることに消極的だと聞いて,アメリカで築き上げられたテーピング神話のようなものが,崩れ始めたのか?と思わせる,興味ある話が聞けた。

ポートランド・ワークショップに参加して

愛知 秀一(JATAC岐阜、太極堂接骨院)
 わたしは,昨年の夏のPSUでのワークショップから参加させていただいたのですが,まず感じたこととして,職業としてのトレーナー活動があげられます。プロとしての責任と,権利を得ている事を肌で感じる事ができました。と同時に開業権を有する柔整師を羨む声もあったように感じました。
 ヘッドトレーナーのジムを中心としたスタッフがトレーナールームの中で何十人もの選手たちを相手にアドバイスをしながら治療をしている姿は,壮観さを憶えました。
 また,私達ジャタック会員を千葉大学の片岡教授の紹介もあってのことですが,とても丁寧に親切に指導,説明してくださり,また情報交換もあり,なかなか充実した日々を過ごす事ができました。今回の講習では,プロバスケット選手の練習場からトレーニング施設の見学,整形外科の個人クリニックの見学,PTの方による講習など,普段目にする事のできないことが,体験でき良かったと思いました。今後の治療に生かしていきたいと思います。また,これからの柔整業界が発展するためにも,より一層の勉強が,大切だと感じました。
岸田 昌章(JATAC和歌山、岸田整骨院)
 今回2回目の参加となりました米国研修でしたが,前回に比べ大学の雰囲気や土地感も多少あったため,落ち着いた中で受講することができました。
 私は今回の研修で3つのポイントについて収穫がありました。第一に,膝や肩の手術後,翌日よりROMの拡大に努めること。第二に,アスレチック・トレーニングとして数種類のメニューを組み合わせ,数人の選手たちを同時に行わせることができること。第三に,コーチ・ドクター・そしてアスレチック・トレーナーの良い関係など。第一・二については柔整師としての施術や限られた施術所内でのトレーニングとして,大変参考になりました。第三については,スポーツ先進国の米国でも問題点への解決策の基本はコミュニケーションが大切と感じました。またこのような機会があればぜひ参加し,自分自身を高めたいと思っております。
 最後になりましたが千葉大学・片岡幸雄先生,事務局長・菊地俊紀先生を始め参加された先生方に御礼を申し上げます。
参加者と現地スタッフにめぐまれ何とか無事に終了できました。今回一番心に残ったのは,Jimの「観光もせずに帰るなんて狂っている!」の一言です。日米摩擦の解消にはまだまだ時間がかかりそうです(笑)。(事務局)
講習1日目 @外科的処置後の固定 (Jonathan Huwe ATC/R)
Aキャスティング:軽度・強度の固定,パッディングの条件 (Emad Aboujaoude' ATC/R)
Bグループ・リハビリテーション (Ariko Iso ATC/R)
C外科的処置後/急性なリハビリテーションの原則 (Doug Rosario RPT)
講習2日目 @フットボールチーム練習前のケア見学
Aフットボールチーム実践練習見学/練習後のケア見学
B競技者のための用具・備品の準備 (Rick McReynolds & Arnold Alcantar, Equipt.Coordinator)
C上肢のリハビリテーション (Ariko Iso ATC/R)
講習3日目 @適切な体重調整 (Dr. Gary Brodowicz)
A緊急時の行動手順−理論と実習 (Jim Wallis)
Bスポーツ医学チームの構成 (Jim Wallis)
Cチーム専属外科医の職務 (Dr. Patricia Eiff, Team Physician PSU)
Dコーチングスタッフの相互作用 (Tim Walsh, Head Football Coach PSU)
E質疑応答セッション
講習4日目 @NBAポートランド・トレイルブレーザーズ施設見学
A下肢のリハビリテーション (Emad and Jonathan)
B女子サッカー・陸上競技・女子バレーボール各チームの練習準備・練習・練習後ケア自由見学
Cフリー・テーピングセッション−ホワイト&キネシオテープ (Jim Wallis)
DBBQパーティー(会場:Jim先生の自宅)
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写真その1
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写真その2
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posted by jatac-atc at 00:15| 海外研修