JATAC|特定非営利活動法人ジャパン・アスレチック・トレーナーズ協会

特定非営利活動法人ジャパン・アスレチック・トレーナーズ協会
Nonprofit Organization Japan Athletic Trainers Association for Certification

スポーツ外傷・障害予防の立場からスポーツを支えるために NPO法人JATAC事務局
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2010年11月01日

第11回米国アスレチックトレーナー研修

 米国オレゴン州ポートランド州立大学でアスレチック・トレーニング・セミナー・ベーシックコースが過去最多44 名の参加で開催されました。 
 荒れ狂う天候の中、8月30 日に日本を脱出し、オレゴン州ポートランド市で第11回米国研修が開催された。年に2度研修を行っている我々JATAC の功績(? )で2001 年から廃止されていたポートランド直行使が復活し、久しぶりに乗り継ぎのストレスのない研修となった。今回は岩本芳照団長(理事:兵庫)以下、本協会会員2名(桜田慎司:青森、早川豪徳福岡)を含む48名が参加。またロサンゼルスから竹内・小高面会員が通訳として参加した。東京YMCA社会体育・保育専門学校からはアスレチック・トレーナー専攻の学生37名が参加した。参加人数の関係で、2班に分かれて研修が行われた。

研修旅行記

団長:岩本芳照 (NPO法人JATAC理事JATAC兵庫) 
(往路)
 まさにこれから渡米という時、西から日本中に猛威を振るった台風16号が接近し、追い立てられるような旅立ちとなりました。九州から参加の早川会員などは前日に新幹線で上京、私も伊丹から成田行きが飛んでくれるものかハラハラしながらの成田集合でした。ノースウエスト機内は特に問題なく、2回の食事と2本の映画と2本のワインが8時間をあっという聞に埋めてくれました。
(宿泊所)
 総勢47名がポートランド州立大学(以下PSU)の敷地内にある2箇所の宿泊施設に分かれて入所、東京YMCAトレーナーコースの1年生とJATAC会員及び上級学生数名との2班に研修・宿泊が分けられました。クーラーだと思ってつけたエアコンが実は暖房で、寝汗をかいて気がついたのですが、ポートランドは北海道(札幌)と閉じ緯度でクーラーなど必要ない地域でした。セキュリティもしっかりしており、各自に玄関のカードキーと 部屋のキーがセットで支給され、安心して1週間を過ごすことが出来ました。
(研修施設)
 大学内のトレーナーズルームやトレーニングルーム等が研修会場となっており、本場のアスレチック・トレーナーの活動する現場の充実した設備・施設を体感することができました。トレーナーズルームを見て感じることは、スポーツ分野に力を入れている接骨・整骨院の設備内容とあまり変わらないと思ったことです。ただし、テーピングの手際よさや、テクニックはさすが本場のトレーナーだと感心させられました。トレーニングルームの設備内容はどこも広く充実していて、この施設があってこそあのすごい身体が作り上げられているのかと納得させられました。そこではストレングス専門のトレーナーが数名いて指導にあたっておりますが、1班の1年生には講義や実宮内容が少し難しく、JATAC会員には少し易し過ぎると思われ、レベルに差がある場合の研修には苦労があったようです。
(NCAAフットボール観戦)
 ちょうど滞在中の9月2日がカレッジフットボールの閉幕日で、研修先のPSU「バイキングス」がホームでの閉幕試合ということから、終日の研修終了後スタジアムへ観戦に出かけました。ところが、試合は一方的な勝ち試合となったため、すぐ自の前のチアガールに目が行きがちで、中年会員はデジカメ片手に「どの子がいい、どの子がタイプだ」と鼻の下を伸ばしておりました、反省。
(施設の見学)
 スポーツ用品等の一流メーカー『ナイキ本社』が近所にあり、全員で見学しました。ウエアーの開発のための研究室やシューズ開発装置等優れた最先端施設を見ることができ、皆それぞれに驚きと感心のひと時となったことで、しよう。「詳細は、他に漏らさない」という誓約書にサインまでさせられており、書くことが許されませんが、我々が日頃何も気にせず使っている製品にも大変な開発プロセスがあることを知り、認識が変わりました。
 また、ポートランド大学(川を挟んだPSUのライバル校)等のPSUとは違う近隣大学のスポーツ施設も見学でき、それぞれに優れた施設を持っていることに驚きの連続でした。やはり、各大学とも強い競技種目の施設・設備は優れており、優秀な成績につながっているようです。そして、共通しているのは、各校共NATAのATCが必ず数名常勤していること、彼らは優れた標準化されたレベルの知識と技術を習得しており、選手たちに信頼されていることです。さらに練習や試合への出場に絶対的な決定権を持っています。練習の前後の流れを見学し、選手たちの管理サポートシステムが合理的に行われていることに感心させられました。
(自由行動日)
 5日目は自由行動のため、1班と2班は別々に行動し、観光やショッピングを楽しみました。2班は全員でコロンピア川流域を竹内会員の運転するレンタカーでドライブし、米国で2番目の大きさといわれる「マルトノマ滝」を散策した後、ボリューム満点の昼食を楽しみました。帰路で「クラウン・ポイント・ビスタハウス」というコロンビア川に突き出した断崖から、峡谷の絶景を見下ろし、アメリカの雄大さを少しは味わえたように思います。その後、「アディダス」等アウトレットの店に寄り、お土産や思い思いのショッピングを楽しみました。
(終了式・ガーデンパーティ)
 最終日の講習終了後、講師でヘッドトレーナーのジム・ウオーリス氏の自宅に招かれ、ご家族総動員の手料理によるガーデンパーティが開催されました。講習やら施設見学に観光やらとめまぐるしく過ごした1週間を振り返り、楽しい談笑のパーティでした。途中、大学講師陣の毎回同じ(?)といわれる手品で大笑いし、彼らとそのファミリーの心温まる歓迎ぶりに、全員がきっと熱いものを感じたことでしょう。最後に修了式が行われ、1人々々に賞状が按与され、講師全員との握手と記念媛影に感慨もひとしおでした。
(帰路での感想)
 過去最多の参加者にもかかわらず、全員が最後まで元気に無事終了でき、引率の教員や役員もやれやれ・・・。私がフットボール観戦時にショルダーバッグをスタジアムに忘れ、2日後に出てきたものの、皆さんにご迷惑とご心配をおかけしたのが唯一のアクシデントだった程度で、す。1班の1年生は引率の先生2人と規則正しい研修の毎日を過ごされ、見ること聞くこと新鮮な体験であったろうと思われます。2班のメンバーは「団長の部屋に集合」が夜の日課となり、私と阜川会員の2人部屋へ毎晩集まりました。毎夜2時とか4時頃まで地ビールとワインで、仕事や学校の話から人生観まで、夜のふけるのを忘れて語り合いました。最後の夜は片岡先生ご夫妻も参加し、インスピレーション作文ゲームで大変な盛り上がりでした。英語に弱い私は、今後の目標を菊地事務局長や片岡先生並みの英会話力の習得におき、JATAC の国際交流や海外研修に役立てようと強く感じて帰路につきました。PSUの講師陣とそのファミリーには心から感謝をしつつ、参加者諸氏には折角の皆さんとの出会いを大切にし、より一層親交を深めて頂けたらと思います。最後に、今後のJATACをNATAに劣らない組織とすることを夢に見て機内.z.z.z。

おわりに

 今回もいろいろなことがありました。関空発パンクーパー経由便を利用したら離陸して5分後に台風のため空港閉鎖、国内乗継便が離陸直前にパンクして直行使に乗れなかった、団長のバッグ紛失事件、トイレに部屋の鍵を流してしまった、池に飛び込み圧迫捻挫、道に迷ってポリスカーで宿舎に戻った、等々。しかし、日頃の行いのせいか大きな事故もなく終了することができました(奇跡かも)。今回の研修が参加者にとって素晴らしい経験であったと信じています。(菊地)
講習 1班 2班
講習1日目 @NIKIスポーツ研究室、アスレチックトレーニング室を見学
A呼吸循環器系フィットネスの評価 (Dr. Gary Brodowicz) Aアメフト練習前・後のケア見学
講習2日目 @身体組成 (Dr.Gary Brodowicz)
A骨格筋・呼吸循環器系の構造と機能(Randy Miller CSCS)
Bバイオメカニクス的評価と機能的コンデイショニングーバランスボールを使用した運動
(Randy Miller CSCS)
@ポートランド大学とルイス&クラーク大学のトレーニング室見学
A傷害評価の基礎概念(Maryann Groff ATC/R)
B膝関節傷害の評価(Maryann Groff ATC/R)
CストレングストレーニングとSAQトレーニング(Randy Miller CSCS & Scott Fabian CSCS)
講習3日目 @アスレチックトレーニングとスポーツ医学チーム (Jim Wallis ATC/R)
Aアスレチック傷害のケアと予防 (Jim Wallis ATC/R)
Bスポーツトラウマのメカニズムと特性 (Jim Wallis ATC/R)
C緊急時の行動手順ー理論とフィールドでの実習 (Jonathan Huwe ATC/R)
DRICE (Cherie Allcroft ATC/R)
E公式戦前のケア見学
FNCAAフットボール公式戦観戦:ポートランド州立大vsウエスタン州立大
講習4日目 @競技者のための用具・備品の準備 (Rick McReynold. Equip Coordinator)
AテーピングセッションTー足関節・足底・下肢 (Duane Duey ATC/R)
Bリハビリテーションの原則ー上肢・体幹・下肢 (Saiko Kinugasa ATC/R)
CテーピングセッションUー手関節・手指・肘関節 (Tera Hebert AYC/R)
DテーピングセッションVー膝関節 (Jonathan Huwe ATC/R)
E修了式兼ガーデンパーティ
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posted by jatac-atc at 00:20| 海外研修