JATAC|特定非営利活動法人ジャパン・アスレチック・トレーナーズ協会

特定非営利活動法人ジャパン・アスレチック・トレーナーズ協会
Nonprofit Organization Japan Athletic Trainers Association for Certification

スポーツ外傷・障害予防の立場からスポーツを支えるために NPO法人JATAC事務局
(お問い合わせはメール又はFAXでお願いします)

2010年11月01日

第1回豪州研修(フットワークショップ)

 オ−ストラリア海外研修フットワ−クショップ・パ−ト2が昨年10月南オ−ストラリア大学(アデレ−ト市)で開催され、10名の会員が、4日間研修した。 入澤 正、高橋 勉、村田拓郎、菅俣弘道、今井裕之、藤井英之、佐藤勇司、小野寺恒己、渋谷権司 のJATAC会員と通訳の蛭間栄介の総勢10名

研修旅行記(アデレード)

9月28日(日) 成田から乗り継ごうとしたが、混雑で入国が遅れアデレ−ド行の飛行機に乗り継げず、若干のトラブルに見舞われてがアデレ−ドに無事到着した。札幌からの佐藤、小野寺、渋谷各先生と合流し、無事にアデレード空港に到着した。到着した日V.エッセン氏が自宅でオ−ストラリアビ−フバ−ベキュ−で歓迎してくれた。V.エッセン氏の奥さんと2人の娘さん、リン・ケインズ教授等が参加して大変賑やかなパ−ティなった。その後簡単な市内観光をして一同は楽しんだが、大学での講義の最終日に終了試験をすると聞かされ一気に緊張が高まった。
9月29日(月) 宿泊しているホテルから南オ−ストラリア大学まで、ビクトリア公園を抜け徒歩約15分程だった。朝の初夏の公園の澄んだ空気を身体いっぱいに吸い込んで今日からの鋭気を養った。午前中の講義では4日間の全体的なコ−ス概要の紹介とポディアトリ−学科の施設見学、前回の講習会の復習であった。午後からの講義では、サリ−・ルストン教授がコンピュ−タによる歩行のバイオメカニクス的分析の講義と実習、パット・クスタン氏(理学療法士)による膝の障害の評価について実技を含めた実習であった。参加した会員は4日間の講習会ということもあり、休憩時間や昼休みもサンドイッチと飲み物をもって、太陽の下で講義について意見交換をしていた。この日は、V・エッセン氏を囲んでタイ料理を食べながら、外国大学での始めての講義と実習について、議論が重ねたが、宿舎に帰ってからも翌朝まで下肢のアライメント測定をお互いに練習していた。
9月30日(火) 昨日に続いてパット・クスタン氏による下腿と足関節の障害の評価とストレッチや深部組織マッサ−ジ(deep tissue massage)の実習が行われた。この深部組織マッサ−ジはあまりに日本では行われていないので、効果や実施ポイントについて多く質問が出された。午後からはリン・ケインズ教授によるキャスティングが実演され、その足型の評価ポイントと足底板種類や素材について講義、特に石膏でのキャスティングでの手際の良さに、日常の治療で石膏を使用している柔道整復師の先生方も、目をみはっていた。夕食後、講義の復習と下肢のアライメント測定練習を各部屋で午前4時ごろまで復習していた。
10月1日(水) スポ−ツメッド・クリニックという総合スポ−ツ障害専門クリニックを見学した。広報ディレクタ−のキャシ−・ト−ビン女史から施設のサ−ビス内容と構成メンバ−について紹介された後、各施設を訪れた。ここでは障害の診断・治療のみならず地域のスポ−ツ選手やコ−チに対して講演や勉強会を開催し、スポ−ツ活動の活性化に貢献している。別棟で行われていた関節鏡下での手術を見学した。このようなシステムを日本でも取り入れ、柔整師も地域のスポ−ツ振興に貢献したいと参加者の意見であった。
午後の講義は、3つのグル−プに分け、一時間ごとで各実習項目の部屋をロ−テ−ションした。この講義は、実際に各自の歩行を分析し、パ−トナ−の足型や足底板の作成など、始めて体験する実習であったが、出来ばえの良さにそれぞれの担当講師も驚嘆していた。
担当講師はK・ダグラス足病医(ビデオカメラでの歩行分析)、R・シャ−フビリング足病医(キャスティング-足型の作成)、L・ケインズ教授(足底板の作成と修正の方法)の3氏であった。この日の夕食は、今回のワ−クショップ担当講師を招待して行った。講師たちは日本食や日本酒を堪能していた。期せずして数人が講師の先生を囲み、講義内容、オ−ストラリアの医療従事者の職域、日本における柔整師の職域について、身振り手ぶりを加えながら意見交換をしていた。さらに、今回のワ−クショップから下肢に関するさまざまな考え方や治療法についての奥深さを実感し、第3回のワ−クショップの開催を希望していた。
10月2日(木) 全豪チャンピオンになったオ−ストラリアン・フットボ−ルチ−ムのアデレ−ドクロ−のヘッドトレ−ナ−のアンドリュウ・ウィルキンソン理学療法士により、ストレッチングのメカニズムや効果的な方法と外反母趾やシンスプリントなどの下肢のテ−ピングが紹介され、各グル−プで練習をした。テ−ピングでは、普段から治療に使用しているので、方法の違いなどについてウィルキンソン講師と専門的に議論をしていた。マイケル・シャクロック理学療法士の神経的な痛みの発生原因の講義では、稀にみられ、我々も疑問に感じていた患部よりも末梢に痛みが発生する場合についてのメカニズムと治療法について説明された。4日間のまとめとして、筆記試験が行われ、全員が合格点をとり、バンエッセン氏から南オ−ストラリア大学発行の修了証が授与された。最高得点は小野寺会員が90点であった。
10月3日(金) 4日間の集中ワ−クショップも終了し、唯一の自由行動日になり、土産ツアに出かけていった。また、オ−ストラリアン・フットボ−ルチャンピオンになったアデレ−ドクロ−チ−ムのパレ−ドがおこなわれ、2万人を超える人ごみに我々も加わり、初優勝を祝った。翌日は、お互いに研究や勉強を重ね、積極的に情報交換をして行くことを誓い、また到着のときのようなトラブルに巻き込まれないことを願いながら日本への帰途についた。                   記 蛭間栄介前事務局長

フットワ−クショップパ−ト2に参加して

小野寺 恒己(北海道支部)
 北海道からワ−クショップに2名が参加した。千歳空港からケアンズ・シドニ−・アデレ−トと2度飛行機を乗り継ぎ、無事到着。V.エッセン氏の出向かいを受け感激。成田空港組と合流した後、V.エッセン氏宅でバ−ベキュ−パ−ティをして多少リラックスする。翌日から4日間の集中講義が始まる。足病医学は今日の靴社会に不可欠の医療であり、柔道整復学の一分野として検討すべき分野と考える。研修で訪問した国立サウスオ−ストラリア大学の理学療法学部足病医学科は、専門学校から大学に移行したとのこと。将来我が国における柔道整復学も新しい構想をもって、医学部・体育学部に構築れれる事を願いつつ、新しい展望が予感させられる印象であった。パ−ト1の2日間、パ−ト2の4日間、足病医学の研修期間が短く感じられ、「修得するまでの時間としては足りない。もっと勉強したい」と参加者の意欲が高く、パ−ト3の開講要望が強かった。オ−ストラリアでは3年半の時間をかけて研修している訳で、柔道整復を6日間で伝えることの難しさと同義に捉えることができると思う。
今回検査(計測)の重要性を再認識させられただけでなく、股関節、膝関節、特に距骨下関節の可動域の計測、非荷重時・荷重時の角度、前足部と後足部との関係、歩行分析、足型の作成、足底板の作成など、何れの分野も興味深く研修の連続であった。パ−ト1が開催されたらもう一度復習したいと思った。

研修旅行記

藤井 英之(千葉支部)
 今回のワ−クショップに参加して得たことは、ボディアトリ−の仕事を直に観察でき、多くの技術が柔道整復師と共有できる業務であったことを肌で感じることができたことである。たとえばキャスティングやグライディングはテクニックという言葉より職人芸といった方が似合っている程であった。そのためもあり、今回の研修の日数では時間が足りないと痛感したが、オ−ストラリアでの研修を基礎にした帰国後の自己研修の蓄積を心に刻んで帰国した。
パ−ト2に参加された諸氏はパ−ト1における距骨下関節のバイオメカニクス・計測方法を修得されていたが、これからワ−クショップに参加される受講者は、パ−ト1を修得されてからの参加が望まれる程不可欠な内容と考えた次第。と同時にサウスオ−ストラリア大学での講義終了後、宿舎での深夜に及ぶ研修が行われ、計測法の復習、新聞紙を用いたキャスティング練習などパ−ト1での研修内容を共有していたからこそユニ−クな自主研修が可能であったと考えるからある。
余談であるがV.エッセン氏や講師陣が3日目の夕食会に招待してくれた帰路、立ち寄ったショットバ−で地元ビ−ル会社の一人と懇意になり、楽しい一刻を作ることができた。人と接する職業柄のせいか、異国という環境でも、ためらいもなく人と接することができる順応性があると再認識した次第。思えば医療業界が大きく変貌しようとしている昨今、柔道整復師は前向きに順応していけなければならないが、そのことは可能と確信?した一刻であった。とにかくオ−ジ−は大柄な人が多い。何か栄養学的に特別な要因があるのでしょうか・・・。

研修旅行記

今井裕之(埼玉支部)
 ワ−クショップ3日目、SPORTS MED−SA(スポ−ツ専門総合病院)を見学した。PAYNEHM-ROAD沿いにあるこの病院は、88年5月、Dr.グレッキ−ンら18名の南オ−ストラリア開業医の共同出資でオ−プンし200名のスタッフで構成されている病院である。この病院の特色は、トップアスリ−トから一般のスポ−ツ愛好家までを対象としていて、理学療法、ボディアトリ−、医科、整形外科の4部門から構成され、それぞれの部門でサ−ビスと施設を利用することができる。内容として 1スポ−ツ医学、2X線検査、3理学療法、4ボデイアトリ−、5整形外科手術、6鍼灸、7栄養士による食事指導、8マッサ−ジ、9カウセリング、10リハビリティション(体育館)、11作業療法、12ホスピタルサ−ビス(Day-surgery)等となっており、この病院での手術は全て関節鏡視下で行われ、日帰り手術になっている。来年には敷地内に整形外科専門病棟もオ−プンの予定とか。会員はDay-surgery棟へ案内された。2階へあがると両側の窓下には手術室が拡がり、一方では足関節のスクリュ−抜去が、もう一方では鏡視下での足関節シュ−ピングが行われていた。その様子をモニタ−でも垣間見ることができたが、その早業は圧巻であった。この病院のDrはオリンピックドクタ−であり、スタッフも全て修士が条件になっていてレベルの高さを実感した。現在我が国でも柔整大学が構想されているが、その必要性を痛感しつつ病院を後にした。
01sa-01.png
写真その1
01sa-02.png
写真その2
01sa-03.png
写真その3
01sa-04.png
写真その4
01sa-05.png
写真その5
01sa-06.png
写真その6
01sa-07.png
写真その7
01sa-08.png
写真その8
戻る
posted by jatac-atc at 00:01| 海外研修