今回は基本的に現地集合・現地解散で実施し,全部で3つのルート(成田発シドニー経由,成田発メルボルン経由,名古屋発シドニー経由)でアデレードに向かいました。別々の便で行ったにもかかわらず,Essen先生がそれぞれ空港まで出迎えてくれました。現地留学中の白石先生,シドニーでのオリンピックカンファレンス終了後直行した通訳の蛭間栄介先生(大阪国際大学),そしてEssen先生を加え,明日からの講習に備えて「オイスターバー」と「アイリッシュバー」を梯子して鋭気を養いました。さっそくその夜から「ミッドナイトレクチャー」が開始されました。第1回参加の藤井先生を中心として講座の予習復習が毎晩遅くまで行われました(今回の研修で最も睡眠時間の多かったのが恥ずかしながら私だと思います)。宿泊先は大学構内の病院に隣接する建物で,一部が学生寮になっているホテルでした(Essen先生の奥様も学生時代ここに暮らしていたそうです)。
今回の講習は,南オーストラリア大学が公認する講習会であるため,講師陣はすべて同大学ポディアトリー・デパートメントのスタッフで固められました。それぞれが別々のクリニックで勤務しながら大学で講座をもっている臨床経験豊富な先生です。17:00終了の予定が,質疑応答に熱が入り毎日1時間以上オーバーしてしまいました。昼休みは1時間弱,夕食後はホテルで復習と,まさに勉強漬けの4日間でした。
アデレード市内は夕方18:00以降,レストランとバーしか店が開いていません。講習が終わるとショッピッングの場所が無く,おみやげを買えたのは,到着した日(6日)の夕方1時間程度と,帰りのシドニー空港(1時間弱)しかありませんでした。また,トラベラーズ・チェックを扱っている店も少なく,短い昼休みの間に銀行で現金に換えてもらいました。同じ英語圏であるアメリカとの違いに少々とまどいましたが私にとっても良い勉強になった研修でした。
最終日の修了式では,Essen先生から次のような話がありました。「パートVを計画してもう少し深い内容を行いたい。今回よりも少人数で講習時間も多くなるだろう。」また,参加者から「ポディアトリー分科会のような日本で研修や情報交換を行う場をつくりたい」という意見を頂戴しました。この研修が今後につながることを期待します。(事務局長 菊地俊紀)
オーストラリア研修レポート
高橋 仙二(岐阜県支部、会員番号000103)南オーストラリア大学主催のワークショップであるため,カリキュラムはしっかりしていて,バイオメカニクス分析,歩行分析,アセスメント,足底板療法,キャスティング,グライディング,ストレッチング,テーピング,神経学等すべて,それぞれのスペシャリストの先生が割り当てられており,時間(単位数)も決まっているようでした。そして,大学発行の修了証もいただけました(さっそく,施術室に掲げてあります)。
<スポーツ・メド−大型>
スポーツにおけるケガや障害を対象にした民間の医療施設で,クリニックとホスピタルの2棟あり,日本で言うと“スポーツ整形外科”といった感じでした。中に入ると,スタッフのユニフォームがかっこよくて“開放的で,とても明るい” といった印象をもちました。膝と肩の内視鏡手術を見学室から見せてもらいましたが,膝関節内の異物を除去し、腐食した関節軟骨をきれいに削り取り,最後にドリルで大腿骨の関節面に数カ所穴をあけていました。大変興味のあるOPでした(あの患者さんの経過が知りたい!)
<スポーツ・メド−小型>
住宅街にあり,先生2人と受付の女性1人で,大きさも私たちの接骨院と同じような感じでした。広めの待合室と受付,2つの診察室,トレッドミル,ビデオ,パソコンを利用した歩行分析室,キャスティング,処置室があり,建物はもともと警察だったそうです。治療機器はなく,足底板治療が主な治療法のようで,多くのスポーツ選手のサイン入り写真や,使用後の足底板がかざってありました。そこで,実習をしたわけですが,歩行分析のアセスメントがどのように足底板に反映されるのか? ニュートラル位で作ったキャスト+バイオメカニクス分析のアセスメントからできあがる足底板と比べて,どう色づけされるのか?といったことが,疑問に残りました。(そこからは,ワークショップ・パートVとなるのかな?)
<シドニー・オリンピック>
いよいよ来年,オーストラリアで2回目のオリンピックが開催されるわけですが,講師の先生方をはじめ,飛行機の乗務員,空港や旅で知り合ったオーストラリア人等に「オリンピック楽しみですね?」と問い掛けると,思ったより反応は冷めていました。「空港や施設等の準備不足」「その工事に伴う市民の迷惑」「チケットが高すぎる!」「オーストラリアで盛んなラグビーやクリケットが,競技種目にない!」などの声が聞かれました。(“長野の時も始まるまでは,不備ばかりがニュースになっていたなー”と思い出しながらも“始まれば選手たちが,すべて消し去ってくれる。それがスポーツだ!”と信じています。)
<おわりに>
こころざしの高い先生方に出会い,刺激され,そして,かなりハードなワークショップをこなした事は,なによりの収穫でした。日本に帰り,施術を開始した時,“自分が生まれ変わった”ような気がしました。患者さんからも,「楽になった,効果てきめん!」「1週間痛いのを我慢した甲斐があった!」「オーストラリアに感謝しないといかんなー」といった声が聞かれました。うれしい限りで,“無理して,行って良かった!”と思っています。
これから先,マンネリした日常に陥りかけた時,修了証を見上げては,ワークショップをおもいだし,心を引き締めて,研究心,向上心を大切にしていきたいと思います。
第2回豪州FOOTWORKSHOP PARTU参加報告
藤井 英之(千葉県支部、会員番号000353)今回,2度目のworkshop partUに参加してきましたので報告させていただきます。 今回のカリキュラムは渡豪前の情報では2年前と同じ内容とのことでしたので,正直なところ「参加しても...」と当初は考えておりました。しかし,2年の間に日本でポディアトリックを自分なりに勉強し,日々疑問に思っていたことを解決できればと胸に抱き,参加しました。参加した感想は大満足でした。 まず,今回のworkshopでは前回よりも実践的で,現地のclinicでの歩行解析の手法をしっかりと習得することが出来ました。実際に講義受講中,現地の患者さんがそのclinicを訪れ,オーストラリアのポディアトリストが足底板を調整する場面に遭遇しました。テクニックを直に見学できたことはまたとない機会であり,それだけでも今回参加した意義を感じることが出来ました。
また,講義の空き時間を利用して大学の図書館を利用することができました。その際,在学中の学生からポディアトリックについての話や参考文献等の書籍を教えていただけた事も喜ばしい体験でした。 今回のworkshopを終えた感想から,2つの提案をさせていただきます。まず,自分たちを含めたpartT・Uを修了された先生方等にて国内での研鑽の場を創設してはどうかという点です。計測やキャスティングの技術を習得し,向上していく為には継続しての鍛錬が必要と考えます。
次に,次回のpartU開催にあたって,partUを修了された先生が一人でも同行された方が,より参加された方の理解を深められると思います。何しろ現地では覚える内容が多く,時間がないことを痛感いたしましたので,参加者のよきアドバイザーとして同行していただけましたら,より充実したworkshopになると思います。
オーストラリアポダイアトリー研修体験記
山本 雅樹(広島県支部、会員番号000186)私は今オーストラリアから日本に向かう飛行機の中でこれを書いています。事務局長の菊地先生より体験記を書いてほしいという依頼があり,どんな事を書こうかとあれこれ考えましたが,旅行の行程については菊地先生が書かれるそうなので,私が参加してどう感じ,どう考え,そして次にいく人がどういう心構えで行くと良いかを書こうと思います。
第1回のオーストラリア研修に参加した藤井先生が今回同行していたことは私たちにとっては大変ラッキーでした。実際に第1回研修で藤井先生たちは習ったのに,私たちの第2回研修では習わなかった事などもあり,大変参考になりました。ドクトル・フジイのミッドナイト・レクチャーはほとんど毎日朝3時〜4時まで続き「この授業料は高いよ〜」が口癖になっていた。藤井先生本当に有り難う!そして今回通訳で同行してくれた蛭間先生は,自ら足底板のエアロビクスへの影響を筋電図などを使って研究しておられ「その道のスペシャリストになるには,最新の情報を常に収集し,習っただけの知識ではなく臨床の経験を多く持つこと,そして研究することそれが大切」と,熱く語ってくれた!自分の進むべき道を教えてくれたのだ,心の中で熱い涙があふれるのを感じた!事務局長の菊地先生とは成田出発からずっと一緒だったので色々なことを教えてもらった。以前から勉強したかった論文の統計学的な処理の仕方や,自己紹介の仕方「アイ・アム・ジャパニーズ・フェイマス・アクター・トシロー・ミフネ」(菊地先生が外国で自己紹介するときのネタだそうです)今度海外に行くときは皆さんも使ってみましょう!果たして笑いの大洪水が起こるのか?ポダイアトリー研修の内容も大変興味深い内容でしたが,素晴らしい人たちと時間を共有できた事に大満足の1週間でした。
それから次回の研修に参加される方の為,講義を受けて一番感じた事は,動作を日本語で理解している事が大変な障害になるという事です。例えば英語で言われたあるひとつの言葉を,日本語に置き換えて,はじめて動作がイメージされるという状態の中,その場で充分な理解が出来ず質問をする段階まで到達できなかったのです。後からビデオを見直しながらはじめて少しづつ理解できましたが,その頃は既に帰国の飛行機の上なのです。次に行く人たちは必ず動作だけは日本語ではなく英語で理解しておいたほうが良いと思います。ポダイアトリストは膝から下の障害を手術せずに治す足のスペシャリストです。彼らのように,この分野ではドクターよりも我々のほうがスペシャリストだと言えるようになりたいと思います。そこには我々柔道整復師の進むべき道が隠されているのではないでしょうか?それを実現する為には,ジャタック・ポダイアトリー分科会(仮名)を作り情報の交換や研究発表などが出来る場を作る事も大切だと思います。最後に,この海外研修を企画してくださった先生方に最大の感謝を送ります!
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![]() 写真その8 |